人気ブログランキング | 話題のタグを見る
能美健志&ダンステアトロ21「四季」
日曜日の赤煉瓦の本番前に、能美さんの新作ダンス「四季」のリハーサルを見せてもらいました。sound+dance+visualでもお世話になっている種子田さんが音を担当され、先日共演したじゅんこさんも生歌をダンサー達の中で歌うというのもあり、これは見なくては!しかし、この週は自分の本番や仕込みとかぶってしまい、泣く泣く断念。そこへリハーサルを見せて頂けるとのお誘いに飛びつき、一番良い席で見せてもらいました。当然リハなので、衣装は付けず、力を少し抜いたり、途中調整が入ったりという状況でしたが、それでも十二分に楽しませてもらった。

能美健志&ダンステアトロ21「四季」_b0046388_12225987.jpg


先ず、会場となった場所はBankART1929YOKOHAMAで、ここは僕もパフォーマンスしたところ。この柱の並ぶ空間の中央にリノリウムを敷いたアクトスペースを作り周りを椅子が囲むという状態。先細りの空間をそのまま奥行きのある美術的として機能させていて良かったな。種子田さんの音は最初、いつもの感じよりもかなり音が柔らかく、ちょっと感じが変わったな〜っと思っていたが、それは種子田さんの幅の広さを感じさせられる結果になった。四季のタイトルの通り、季節を表現しながら繰り広げられるパフォーマンスの中で、音も温度を様々に変え、音の粒が持つ質感がどんどん変化していく。春の柔らかな日差しから夏の湿度、秋から音が乾き冬の凍てつく様な堅く緊張した音になる。本当に種子田さんの音を聞くと、音の奥行き、面白さを体験できるんですよね。これは現場でないと分からないので、是非聞いて欲しいです。(ちなみに次回は種子田さんと共演かも) そしてじゅんこさんの声。ダンサー達が踊る中にゆったりと立ち、また緩やかに動く。歌手が持つ発声の身体が見せる緊張感。緩やかでいてどこか張っている。僕も両親に習い歌を歌った時期もあったので、その身体から感じるしなやかさを凄く感じ、かっこいい。そして特筆すべきはその声の温度、透明感を伝える音響。種子田さんからの音とのバランスも取る為でしょう、マイクを通しての歌だったのですが、全く違和感なく生声の様に聞こえてくる。僕はマイクを通した声の質はあまり好きではなかったのですが、これにはビックリ。磯野さんや種子田さん達の技術、耳のすごさには呆れるくらい凄いと思う。そしてそこにちゃんとお金をかけてやった能美さんもさすが。ダンサー達の舞台というのは安易に音楽や音を選択しがちで(そういう情報や繋がりも少ないのかもしれないけど)、それでけっこう興醒めするのだが、ここでは逆にダンサーの身体と有機的に絡み合うのを感じます。

さて、肝心のダンスの方ですが、先ずこの能美さん率いるdannsuteatoro21には素晴らしいダンサーが揃っています。このレベル、体つきのダンサーがこれだけ集まっているのは凄い。それだけでも圧巻です。特に能美さん以外に男性ダンサーが一人いるのですが、彼がまた本当に良かった。クラシックバレエをベースにしている様だけど、体つきは日本人的ですが、身体がとてもしなやかで、筋肉の質も凄い良い。アクロバティックな動きもとても軽く、空間を非常に上手く捉えられている。まだ20代頭らしく、時代を代表するダンサーになるのは間違いない気がします。彼ともどこかで是非共演してみたいな。
女性ダンサーについては、とにかくみんな美しい人が揃っています。こんな素敵なダンサー達に囲まれている能美さんが羨ましい。(笑) もと新体操オリンピック選手の山田海峰さんもゲストダンサーとして参加されていたのですが、以前BankARTでご一緒したときから数段レベルアップしているように感じました。新体操的な要素から抜け出し、より柔らかな彼女の身体を活かした表現へ昇華していっているようです。能美さんからも色々とアドバイスをもらい、その後脇で淡々と反復している姿は印象的でした。リハーサルならでは見れる光景。そして相変わらず綺麗で、見とれてしまいました。(笑)
能美さんのダンスも初めて見せてもらいましたが、もちろん素晴らしかった。新しい物と前代的なものが混ざっているような感じで興味深いです。ずっと前線でやってこられたものを感じます。そして振付家としての才覚も素晴らしいと思った。四季というテーマと人間の身体の使い方がユニークで有りながら凄く自然に受け入れられ、なかなかに感動的。
 照明にConversationなどでやられている川口さん。次回のsound+dance+visualでもご一緒する予定なのですが、白い空間と、大きなガラス面を利用した演出を有効にしていて、特にガラスに反射した光が反対の壁に映り込む質感はとても綺麗でした。またむき出しの蛍光灯を照明としても使い、空間にマッチしてました。ただ、照明機材というのはまだ前時代の舞台裏のままの姿で、やはり白い空間には変な存在感を与えてしまう。最近舞台以外での光の扱いが増えているだけに、早くこういった機材のプロダクトが美しくなるのを願うばかり。もったいない。美術的に機能する裏方機材というのは必要ですね。それは映像もしかりだな。

とにかく、面白かったのですが、本番を見れなかったのが本当に残念。衣装を纏うとまた違ったでしょうしね。。。それともう一つ残念だったのは、この舞台に映像で参加するお話しも有ったのですが、色んな都合で流れてしまったということ。是非次回は一緒に絡ませてもらいたいです。

TUNEでの本番前に良いエネルギーをもらえました。感謝!
by michiyuki917 | 2005-03-29 12:22 | Review
<< Phaidroscafeが。。。 のりきった〜。 >>