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三人姉妹
昨日に引き続き、今日も舞台鑑賞。今回は中野のSAIスタジオにてパパ・タラフマラの「三人姉妹」と「ヲg」という作品の二本立て。前者はタラフマラの演出家の小池博史氏、後者は20年間パパタラでやってきている松島誠氏の演出によるものでした。タラフマラは以前スパイラルでの公演を見てからの二度目になります。

まずは「ヲg」の30分ほどのパフォーマンス。蛍光灯の光を空間のベースにした色が印象的だった。パフォーマー(ダンサー)は松島含め6人で、コミカルに勢いよく展開する。ただ、全体的に装飾的な印象が強く、無駄なことが多いように感じた。後半に四人のダンサーがむき出しの蛍光灯をもって踊る所があり、その光と影が作る世界観はかっこよくて、もっとそういった部分だけを広げても面白いかもしれない。また映像も使われていたが、さりげなく使っていてそれは印象が良かった。ただこれは後半の三人姉妹にも言えることだが、声を張り上げて奇声をあげるのが多く、ちょっと聞いていて辛くなる。その声の印象が強くなり、それが浮いて感じてしまうのは僕だけだろうか?そういった無駄な所を削っていって、もう少しシンプルに見せたいところを際だたせて欲しいと思った。

後半の「三人姉妹」は題名と同じく、三人の女性ダンサーによるシンプルなものだった。以前スパイラルで観た作品はちょっと装飾が強く、あまり好印象を持てなかったのだが、今回のこの作品はとても良かった。まず、チェーホフの同名の作品を、ダンスを含めた舞台で、現代風にアレンジしているのだが、僕は原作を知らずに観たにもかかわらず、全体の内容?や、それぞれの役者(ダンサー)の情感を感じることが出来た。もちろん最低限の台詞や小道具での演出はあるが、基本的には彼女らの踊りや動きから伝達される。この三人のパフォーマーのレベルがかなり高いと思った。それぞれに色んな活動をしている人たちだが、この三人が一度に機能して狭い空間を動き回るのは、単純にパフォーマンスとして観ても面白かった。
使われている音は以前千葉の方でソロのライブを見せてもらったマツモトジュンイチさんが担当されていて、それもこの舞台の中で上手く機能し、あるビジュアルを与える力を持っていた。しかもさりげない感じがして良かった。
途中ダンサー達は衣装を脱ぎだし、そこに現れるのはSMチックな黒い衣装。この衣装を脱いだり着たりする行為も、人間の(女性の?)感情の表裏や理不尽さ、矛盾を感じさせた。また途中でむき出しの裸電球をコードを持って振り回す所があったのだが、「ヲg」と同じく、生の光の強さを上手く活かしていて、狭い空間の光のコントロールが小気味よかった。ふと映像もあんな感じで振り回せないかと頭に浮かんだが、想像すると恐ろしかった。(笑)

公演の後に、演劇評論家の渡辺保氏と、小池氏によるアフタートークがされた。そこで小池さんの舞台に対する考え方が聞けて面白かった。ダンサーや役者という境界を引くのではなく、身体を使った表現者としての可能性を考えていることに好印象を持った。そこでも「領海侵犯」といった言葉が出ていたが、そういった考え方はもはや時代遅れなのだろう。どんなスタイルであれ、表現する可能性を追求し、進化していこうとするのは注目に値する。
山の手事情社という劇団もそういう意味では演劇からもっとダンスパフォーマンス的な要素や、歌舞伎的表現など、独自に進化させてきているが、ダンスが演劇よりに変化・進化していくのは楽しみではあるものの、それが本来の表現する目的からそれて単純なメディアミックスにならないようにはして欲しい。要素があるだけで、それが機能しなければただの蛇足であり、作品の足を引っ張る。その辺の判断は演出家の腕次第というところだろうか?
ただ、今回の三人姉妹を見ている限り、色んな可能性を感じさせてくれたので、今後の作品作りにも注目したいと思っています。明日は落日なのですが、立ち見ならまだ有るかも?
by michiyuki917 | 2005-02-20 02:10 | Review
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