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井出孤独
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三軒茶屋のシアタートラムで、井出茂太さんのソロダンスを見てきました。

この人も、やはり日常を切り口にしたパフォーマーだと感じました。でもこれが凄く面白い!
日常の切り取り方がかなり上手くて、舞台の空気を作る間や、その計算がすごい。
最初に出てくるときには、スーツ姿で、どこか頼りなさそうなサラリーマン風な男で、
足のサイズで一歩を踏み、ゆっくりと中へ入っていく。。。すると急に爆音がなり、
「ビク〜!」そしてすごすごと袖へ去っていく。かと思うと、また静かに入ってくる。
この辺で既に観客は彼の空気感に飲み込まれ、世界に入っていく。「やるな」ってかんじ。

舞台は、柔道の試合で使われる赤い畳で四角く囲われた空間。
その空間で最初スーツでおずおずとしていたかと思ったのが、
ある瞬間にガラっと空気を変え、突如として自分の世界観が開けたかのように、
明るく軽やかに踊り出し、後ろには巨大な「俺」っという垂れ幕が下りてきた。会場爆笑。
そして一度引っ込んでから女物のカツラ(江戸時代の様な)を被り、
電子炊飯器を持って、赤い畳を回り出すシーンがあったのだがここが一番印象的だった。
思うに、サラリーマン社会への皮肉も有るのかもしれないが、
飯の種(炊飯器)の為に毎日同じようにスーツ(カツラ)で身を固め、働き回る。
そして家に帰ってやっと自分の世界で解放される、さらけ出す見たいな感じ。
その辺にいそうな中年スーツ姿の男が、その出で立ちで軽やかに踊り、
足とか上にすっと上がってしまったり、妙な軽やかさのアンバランスが妙に心地良い。

1人で一時間半ほどの舞台を全く飽きることなく見せ、観客の心をわしづかみ。
クレイジーさと計算高い舞台で、これは観ても損はない!いや見て欲しい。
また、コミカルだが音の使い方もけっこう上手いし、照明がかなり良かった。
赤い畳や、会場の壁を美術として成立させ、面白い質を作っていた。
勿論、この広い空間を自在に操っている井出さんのパフォーマンスには脱帽でした。
いや、久々に面白いダンスに巡り会えて良かった〜。
by michiyuki917 | 2005-05-28 16:02 | Review
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