舞台二連発〜!(by山の手事情社)
知り合い数名が所属している劇団の「山の手事情社」。
この度この劇団が20周年を迎えるとのことで、
それを記念して過去の作品の中からアンケートを取り、
その中から三演目を一気に公演するという企画。
出来れば全部観たかったのですが、それはかなわず、
それでも本日(千秋楽)まとめて二本見てきました。

見る前から期待度は120パーセントくらいでしたが、
実際の舞台の方も期待に違わぬおもしろさ。
今回の舞台を見て、やはりこの劇団の凄さを、
改めて実感しました。本当にすごいんですこの人ら。
20年というのは、短いようで長いのか?
そこで積み上げてきたモノを感じてたのですが、
すでに一つのある文化にまでなっている様に思います。
洗練された様式と、役者の持つ身体能力、
また組織的な動きや、空気の作り方、その演出。
おそらく日本において、この内容をこのレベルで出来るのは、
ここだけではないかと思います。他に知りません。。。
(他にこういったモノを見れたら見たいですが・・・)

山の手事情社について軽く触れると、
彼らは「四畳半」という独自の表現方法を創り、
またそれを磨き、進化させて新たなルールを作りました。
舞台上にイメージされたある空間の中で、
奇妙な動きをしながら台詞をしゃべったります。
四畳半とは日本の典型的な部屋の形式に有ったわけですが、
その空間を意識し、そのスペースの中で演じる。
しゃべるときも、変な動きの中で一瞬ストップし、
一人ずつ台詞を言ってはまた動き、また台詞を一人が言う。
初めて見る人には異様な光景に感じるかもしれませんが、
慣れると逆にその持てるモノに引き込まれ、
その世界の住人となる様な感覚に襲われます。
能や歌舞伎にも同じように動きや台詞にルールがあり、
これは山の手事情社流のルールを築いているわけです。
こういった動きながらの表現が出来るのは、
彼らが通常考えられるような訓練ではなく日々鍛錬し、
心身を鍛え上げているからです。
動くと言ってもただ動くのではなく、
ある運動の途中の様な形で停まったりします。
しかも日常生活では余りしないような動きなのできついはず。
見方を変えば、人間以外の動物が動いている様でも有ります。
まあ、僕がここで言っても正確には伝わりませんし、
実際に見てもらうのが一番良さそうなのでこの辺で。

さて、今回見たのは「夏の夜の夢」と「Jamゴールドブレンド」
まず「夏の夜の夢」はシェイクスピアの有名な作品ですが、
その舞台となるステージの美術は銭湯になってます。
はいっ?って感じを受けるかもしれませんが、
これが不思議とマッチして見えてくるから面白い。
まあ、風呂場で繰り広げられると言っても、
役者がパントマイムで場所や状況を表すように、
演技により、風呂場は森となり、町や部屋となります。
逆に直接的な美術から状況を見せられるよりも、
もっと強烈にその空間をイメージ出来るようになります。
内容も今回はかなりわかりやすく、
しかも山手流のユーモラスな楽しませ方が溢れていました。
ゲストで柳花禄さんが加わり、落語と演劇のミックス。
これだけでもどきどきしそうな展開ですが、
実際に舞台の中に落語の要素を取り入れ(実際にやる)、
面白く構成されているのは、さすがと思います。
小さな子供も何人か見に来ていたようですが、
大人以上に笑いまくっていました。それくらい分かり易い。
でも、単純なエンターテイメントな舞台ではなく、
そのベースに彼らの表現があるので、複雑な奥行き?
シュールなモノを沢山感じることが出来ます。
正直お客を喜ばすためのサービスを盛り込みすぎ?
っと感じてしまうような所はあり、
ひねくれた見方をするともうちょっと裏が見たい。。。
って気もしてしまいますが、楽しむには十二分。
いや、ほんとに楽しかった。

もう一つ観た「Jamゴールドブレンド」は芝居の舞台ではなく、
彼らの普段の稽古の延長を舞台化して見せてしまうモノで、
これがおなかを抱えてしまうくらい面白いのです。
簡単に言ってしまうと、即興的に芝居や動きを作る形で、
中には観客を取り込んだり、お台をもらったりします。
ビデオではこのJamシリーズを見ていましたが、
やはりライブでの緊張感は全然ちがいますね。
メンバーが目を白黒させながら必死にやっている姿がたまらん。
次々と動きを命じられ、しかも突飛もない動きや台詞、
しかも常軌を逸するようなオーバーアクション。
その傍若無人な指示を考えるよりも先に身体で動く。
多分色んなことを考えていてはまず動けないのでしょうが、
そうすることで逆に面白い動きや、あり得ない表情、
我々ではやりもしなそうなことをやりきってしまうのです。
これは練習方法の一つなのですが、そういう意味でも面白い。
普通は面白い動きや新しいモノは先に考えてしまいそうだが、
それではなかなか突き抜けて行けないのかもしれないが、
考える余裕を奪いながら役者を動かしてことで、
何か新しいモノを引き出していくおもしろさがある。
良くデザイナーなどは、アイデアをとにかく出しまくるが、
くだらないモノ、あり得ないモノ、通じないモノ。
そういうものでも出すことで新たな展開が生まれたりする。
普段の観念の中からは生み出せないコトども、
我々の壁になっているモノを取り外す訓練としても良いな。
考えないで動くと言うことは良いんだな〜っと、
彼らのめちゃくちゃぶりを見ながら思いました。
また、お台を与えられて、ちゃんと考えて作る即興芝居。
この中でも客席やメンバーの空気を読みながら、
身体で次々と動き、ショートストーリーに命を入れる。

なんか、感想と言うよりは、解説になってしまった。。。^^;
感想をいうと、一言では「楽しかった」それに尽きます。
普通の舞台では見れないおもしろさ、感覚を与えてくれます。
千秋楽だったので、正直「勢いで行っちゃえ〜」
っていう乱暴さも見えた気はしましたが、
まあその辺は気にしないことに。(笑)

かれらがやっている舞台は、日本の舞台のシーンにおいて、
非常に意味があり、考えさせられるものがあります。
是非多くの人に見てもらいたい劇団だと思います。是非!
http://www.yamanote-j.org/
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by michiyuki917 | 2004-10-17 23:59 | Review
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